日大アメフトタックル アメフトにおけるコンプライアンスの難しさ

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連日メディアを賑わす日大アメフトタックル問題。

反則タックルをした選手の記者会見を受ける形で、ようやく監督、コーチが会見を実施。

その内容についてはいろんなところで言われているように、誠実さ、覚悟が全く感じられない、ただただ保身に走った、言い逃れ、言いつくろい、言い訳だらけのひどいものだった。多くの現役部員が「あの会見はウソしかついていない」と言っているのがせめてもの救いというか光明か。

今回の件は、監督、コーチ、組織ぐるみでの入念な、ライバル校のキープレーヤー潰しの可能性が結構高いと思うのだけど、

100歩、いや一万歩くらい譲って言うと、とはいえ、監督もコーチもあそこまで明らかな反則プレーを通じてQBを怪我させようとは考えていなかったと思う。もうちょっとわからないようにしろよ、というのが本音だろう。

だから、あのプレーを指示したのか?という質問には、NO、ということになる。

問いただすべきは、

相手QBを怪我させようという意思を持っていたか?

なのだと思うけど、まぁこれはこれで内面の問題になるので、本人たちが保身に走ろうとしている中で真実を立証するのはなかなか難しいだろう。

 

ちなみに、これは以前も少し触れたのだけど、(日大アメフトタックル問題に対するアメフト経験者コメントの違和感

アッシが大学でアメフトをやっていた頃は、

相手QBを怪我させる

というのは当然の心持ちだった。

もちろんルールに乗っ取った中でというのは当然だが、ハードヒット、ハードタックルでQBに限らず相手を負傷させるのは、賞賛されるプレイだった。

そもそも、アメフトとは、ボールを持っていようが持っていまいが、いついかなる場所でも縦、横、斜めとあらゆる角度からガチンコでぶつかりあうスポーツである。ボールを持っていない相手に後ろからぶつかるのは反則なのだが、ボールを持っていれば全くの死角である後ろからぶちかますのもOK。

防具をつけた100kg級の人間が全速力で走ってぶつかりあう、そんなスポーツなので、当然ビビっていたら話にならない。なので、試合に向かう選手たちは極限まで自分たち自身を鼓舞し、ある種のトランス状態に入っていく。

試合前ハドルと呼ばれる、試合前にベンチ裏で円陣を組んで、自分たち自身を鼓舞しあう、儀式のようなものがある。叫び声とも奇声ともとれる声を発しながら、中には涙を流しながら、自分たちの意識を非日常に持っていく。

そこでは、各人が想い想いの檄を飛ばしあう。

「絶対勝つぞ!」

「これまでの練習を思い出せ!」

「去年の最後のプレイを思い出せ!」

「このままじゃ引退できないぞ!」

などなど。

で、その中には

「○○(相手チームのキープレーヤー)なんかにびびってんじゃねーぞ!」

「ぶちかましてやれ!」

「ぶっ殺せ!」

「病院送りにしてやれ!」

なんてことも普通に出る。

そして、その勢いのまま試合開始を迎えるのがアメフトなんである。

けどまぁ今回の件を受けて、各校の試合前ハドルの発言にもコンプライアンス的な視点が入るんだろうなぁ。

「それ、言い過ぎ」みたいな。

文春砲かどこかが試合前ハドルをこっそり盗聴して明るみに出すとかもあるかもしれない。

けど、そうなったら、試合前ハドルも今までのように極限状態に持っていく感じにはならないかもしれないのだけど、一方そうすることで、逆に怪我は増えることになるかもしれない。

極限状態に持っていった者同士がぶつかり合うからこそ拮抗できていたものが、うまく極限状態に持っていけない人間がグランドに立つっていうのは猛獣たちが集うサバンナの真ん中に生身の人間が放り出されるようなものだから。

 

で、話を、相手を怪我させようとする心持ちに戻すと、教育的観点、スポーツマンシップ観点から、そういった邪な感情を持たないように育成するというのは当然あると思うけど、

一方で、内面の意思というのは外からは判断できないから、結局はプレイで判断していくことにならざるを得ない。で、結構これはアメフトの本質的なところの議論になっていく可能性がある。

アメフトにおける危険なプレーの一つに、死角からぶつかっていく、というのがある。専門用語ではトラップ(罠)というのだが(この言い方自体、スポーツマンシップ的にどうよっていうのもあるけど)、

簡単に言うと、1VS1でまさにぶつかりあおうと向き合っている相手が、急に全然違う方向に向かっていって、あれ?となった隙に全くの死角から別の相手がぶちかますプレイである。まさに相手をトラップ、罠にかけるわけである。

実は、アッシも全力で走ってタックルに向かっているときに、いつもならアッシを止めに来るはずの相手が来ずに、

あれ?

相手、ミスった?

よっしゃ〜、いったれー

 

!!!!!!!!

 

気づいたら吹っ飛ばされていた(予想外の相手に、全くの死角からぶつかられていた)、なんてことがあった。

幸い怪我にはいたらなかったけど、何が起こったのか理解できずに数秒間グランドに突っ伏したまま動けなかった。

もちろん、こういうプレイは相手を怪我させようというよりは、確実に相手をぶちかますためのものであるのだけど、相手を油断させてその隙をついてぶちかます、という意味では非常に怪我につながりやすいプレイとも言え、そういうプレイの扱いはどうなのっていうのはあると思うんだよなぁ。

スポーツマンシップという点から見ると、フェイクパスとかもあるし、そんなこと言ったら野球でも擬投とかっていうプレイもあるからなぁ。このあたりのことはまたの機会に書いてみます。

 

さてさて、関学はどう反応するんだろう?

 

日大アメフトタックルに関するこれまでの記事はこちら。

日大アメフトタックル問題に対するアメフト経験者コメントの違和感

大アメフトタックル問題に見るスポーツマンシップとは

日大アメフトタックルに見る正義感を振りかざす一般市民

意味通じるか?面白いアメフト用語集 アオテン、ぎる

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