ひと声かけるだけで世界が変わる話の第2弾。
いつも行っているフィットネスのプールの話。
いつものようにプールでひと泳ぎし、最後のクールダウンを兼ねた水中ウォーキングを行っていた。
このフィットネスは、プールサイドに体を温める用のお風呂と、ウェットサウナがある。プールで冷えた体を温めようと、水中ウォーキングしながらお風呂を見たら、そこに怪しいおっさん(62歳くらい)の姿が。プロレスラーくずれみたいな体型(推定174cm、85kg)、長州力くずれみたいな髪型(なんとなく横短め、後ろが長め)。
その長州おっさんが、お風呂の中でなにやらスクワットみたいなことをやっている。定期的に体を上下、上下、・・・。おいおい、お風呂でやめてよ~と思いながらも、僕もプールで冷えた体を、吹き出す泡(ジェットバスみたいなの)を体にあてながら温めたいし、けど、ちょっと長州おっさん気持ち悪いなぁとか考えながら、ええい、ままよ、とお風呂に入っていった。
長州おっさんが正面の壁際の真ん中くらいで、プールを見ながらスクワット。僕はそれとは90°離れた側面の壁にもたれ、体を温め、泡を浴びていた。当然視界にゆさゆさと上下運動を繰り返す長州おっさんが入っている。
とすると、体を上下にゆさゆさしながら、顔だけをこちらに向け、
「なんかやってたんすか?野球すか?」
と投げる真似をしながら声をかけてきた。
びっくりしながらも、「いや~ぁ、アメフトを・・・」と答えると、
「もう、ばっちり体戻ってますね!」と満面の笑顔で返された。
いやいや、アメフトやってたとき、もっと太ってたし。とか思いながらも、
「そうですかね・・・てへ」と愛想笑い。
お風呂の中での会話はそれだけだったけど、急に長州おっさんのことを、この人もなんかスポーツやってたんかな。やっぱプロレスかな。いや、ただのプロレス好きかな。あ、さっき投げる真似サウスポーやったな、とか、腰か膝か痛めてて、あったかいお風呂につかりながらスクワットやってるんやな、医者にでもすすめられたんかなとか、いろいろ思いめぐらせた。
隣近所の人とご近所づきあいがあって、話をする間柄だと、全く見知らぬ人の場合よりも騒音が気にならない、というのを聞いたことがあるけど、それと一緒だろうな。ただのあやしい長州おっさんが、ひと声かけてくれたことで、一気に距離が縮まった。今度会ったら、スポーツやってたのか聞いてみよ。
お風呂を出てプールを後にするとき、「お疲れ様で~す」と挨拶したのは言うまでもない。