アッシの高校時代からの友人に、江本(仮名)という男がいる。
この男がどでかいことをしでかした。
第一話、第二話、第三話、第四話はこちら。
大学で離れ離れになり疎遠になっていったアッシ達であったが、結婚し上京してきた江本を含めた高校同窓メンバーと不定期的な会合を重ねることになる。
ある日、江本から「嫁が死んだ」と知らされたアッシたちは一年後、江本を見舞い、今までと変わらぬ姿の江本と再会を果たす。
それ以降は江本も交え、不定期会合はまた不定期に続くこととなった。
会合では相も変わらず、時の政権批判や役人批判、国際情勢の行く末や、ワイドショーネタになっているようなテーマを肴に討論、激論を繰り返していた。特に江本事件に触れることもなく。
また、この会合とは別でアッシと赤沢はたまに二人で飲んだりしていたのだが、その時にちょこちょこどちらからともなく江本の話題になったりしていた。あいつ、どうすんねやろうなぁみたいに。ただ、いかんせんどちらも嫁を亡くすという経験をしたことがないので、焦点の合わない感想論の応酬で終わるのが常だった。
まぁそんなこんなで月日も流れ、江本事件から早数年たった、ある日の会合でのことである。
(アッシ)「江本、相変わらずそっち系のお店行ってるの?」
(江本)「そぉ〜う、やなぁ〜、まぁ、ちょいちょいは行ってるけど。。」
(アッシ)「ちょいちょい?なんや、歯切れ悪いな〜。どないしてん?」
(江本)「いや、実はなぁ、、、、クラブ行ってて」
(アッシ)「え?、銀座?」
(江本)「うっん」
なんと、江本はアッシ達と同じ、しがないサラリーマンのはずなのに、こともあろうかザギンのクラブに通っておったのである。綺麗なママさんがいて、座るだけでも数万円かかると言われている、あのザギンのクラブである。
嫁も子供も抱えた安月給のしがないサラリーマン風情のアッシ達には縁遠い世界。こともあろうか、外見だけだと一番ブサイクと言っても過言ではない江本が、いや一番ブサイクだからだろうか、その江本が、夜のザギンに通っておったのである。
かくいうアッシも実は仕事で一回だけ銀座の夜の店に行ったことがある。
取引先の大手メーカーの取締役とその下請け会社の会長の行きつけの席に同席させてもらったのだ。
ただその時は、しがない若造が社会勉強的に連れてきてもらっただけで、取引先の取締役の前でということもあり粗相することもできず、ただ小さく縮こまっていただけで、支払いも全て下請け会社の会長がしてくれ、結局ただただウィスキーの水割りを数杯飲んだだけだったので、銀座素人同然である。
他のメンバーも銀座素人であった。そらそうや。
そんなアッシ達は江本の銀座話に一気に食いついた。
そしたら、江本がどえらいものを見せてきた・・・