アッシの高校時代からの友人に、江本(仮名)という男がいる。
この男がどでかいことをしでかした。
これまでの連載はこちら。
大学で離れ離れになり疎遠になっていったアッシ達であったが、結婚し上京してきた江本を含めた高校同窓メンバーと不定期的な会合を重ねることになる。
ある日、江本から「嫁が死んだ」と知らされたアッシたちは一年後、江本を見舞い、今までと変わらぬ姿の江本と再会を果たす。それ以降はまた江本も交え不定期に続いていた会合であったが、とある会合で江本が夜の銀座の店に通っていることを告白する。
「え、お前銀座の店通ってんの!??」
「なんぼするん?」
「目当ての女の子いてるの?」
「お前なんて眼中にないって」
なんてことをそれぞれ矢継ぎ早に投げかけながら、会合の場は一気にヒートアップした。
学生時代、先頭切って筆下ろしをした同級生かのように、意気揚々とザギンの夜を語る江本にみんなが食いついた。
江本曰く、定期的に通っている目当ての女の子がいるようで、
(アッシ)「で、どんな女の子なん?」
「写メとかないん?」
(江本) 「写メなぁ〜」(とか言いながらごそごそ携帯をいじる)
「ほれ」
江本が雑に携帯を差し出してくる。
・・・
・・・
・・・
「めっちゃ、かわいいやんけ〜〜〜〜〜!!!」
そこには、赤いドレスを着た、誰が見てもかわいいと言うであろう美人の姿が。
「おいおいおいおい、まじかよ〜。」
みんな驚きの色を隠せない。
そして、だんだん、くやしいというか、羨ましいいうか、嫉妬もあってか、
「こんな可愛い子、絶対お金目当てやって」とか「他にも客いっぱいいてるやろ」とか、口さがない言葉を浴びせていた。
それでも、江本はいつもの江本節で、
「まぁ、そうやろうなぁ」とか「そんなことたぁわかってる」とどこ吹く風の様子。勝者の余裕かい。
で、ひとしきり盛り上がったところで、
(アッシ)「で、ヤッたん?」
(江本)「いや、それはなぁ」
(アッシ)「なんやねん、どっちやねん」
(江本)「いや、ヤろうと思えばできそうやけど、まだヤッてない」
まだ、ヤッてないやとぉ〜〜〜〜〜!
まだ、できへんねん、の間違いちゃんか〜〜〜!
こんな美人を相手に何を上から言っとんねん。お前、鏡見てんのけ!
なんてことを口々に罵りながらも、またもや場の盛り上がりは最高潮に。
江本から、銀座の夜の素人のアッシ達に、銀座のシステムを含めながら逢瀬話が繰り広げられる。
曰く、同伴で寿司を食べてるだの、オープン〜ラストまで指名して、アフターには二人っきりでカラオケに行ってるだの、銀座のカラオケは一人1時間5000円するだの。結局、同伴〜アフターまで込み込みで一晩10万円くらい使っているだの。
おいおいおいおい、しがないサラリーマンが使える金額超えてまっせ。
それでもアッシ達のテンションは最高潮をキープ。
「金の切れ目が縁の切れ目やで」なんて憎まれ口を叩きながらも、
「アフターのカラオケではチュウぐらいはしてんの?」なんて聞きながら、江本がその美女とアフターでイチャイチャしている姿を各々が想像しては各々が各々を元気にしながらも、ぐいぐい江本の武勇伝に吸い寄せられていく。
いやぁ、江本、すごいな。なんて誰もが江本に感心していたその時のアッシ達は、江本も含め、この先にさらなるどえらい結末が待っていることは知る由もなかった・・・