コンサルティングの仕事の依頼を受ける時に、予算の呈示が無いことが多い。
こんな課題を抱えていまして・・・、こんな問題が起きていまして・・・、こんなことやりたいのですが・・・、
一度、概算の見積もりと合わせてご提案いただけませんか?
依頼主にとって、この手の仕事が日常茶飯に存在するわけではないから、費用感がつかめないというのは分かるけど、
こういった相談を受けた時にありがちなのが、受注したい営業担当が極力安く見積もろうとすること。
特に依頼主が複数企業に声をかけている場合(いわゆるコンペティションの場合)は、競合企業に競り勝つために、尚更、極力安く見積もろうとする。
けど、誰がやっても同じ結果の出るような工業生産的なものだったら見積もり勝負になるのもわかるけど、コンサルティング業務はそうではないということがなかなか理解されない。
大体は、依頼主も何が真の課題なのか、解決するために何をすればいいのかが分かっていないのだから、費用の高い、安いが分かるはずもない。
で、コンサルティングの仕事なのに極力安く見積もろうとする営業に限って、依頼主がぽろっと言った、「問題点を把握するための調査とか必要だと思うんですけどね・・・」という一言に過剰に反応して、
鼻息荒く「問題点を把握するための調査を提案に入れよう!」となりがち。
いやいや、依頼主の言葉通りのこと提案していたら、それこそ競合会社との見積もり勝負にしかならんがな。
今起きていることは、調査をして解決できる問題なのか?を疑わないと。
本当に調査をやるだけで解決できる問題なら、調査会社の仕事ですわ。
けどそんな単純な仕事なんてほとんどない。
調査をすれば問題点が明らかになるなんて幻想、というか調査で明らかになる問題点なんて、ほぼ想定の範囲内のことしかでない。
調査をやる前に、そもそも自分たちは何をやりたいのか、何を目指したいのかを明確に持たないと、何が問題なのかもわからないはず。
①自分たちは何をやりたいのか、何を目指したいのか
②それを実現する上で問題として起きていることは何か
という順番で、思考しないと。
理想なき問題は、ただの不平・不満・あらさがしでしかない。
こういう、コンペティションのときって、競合他社にどう勝つか?を考えがちで、競合他社に劣らないためのあらゆる手段(調査を入れておこう、見積もりを安くしておこうなど)を考えてしまうけど、
大事なのは、どう負けるか、だと思う。
あれもこれもと盛り込んで、結局なにが言いたいのかよくわからなくなって見積もり勝負になるなんて愚の骨頂。
調査提案が入っていないから、という理由で負けるならそれはそれでいいじゃん、
という腹のくくりが必要だと思う。
で、これで勝つためには、
調査なんてやっている場合じゃない、ということをぐうの音も出ないほど納得させればいい
だけだし、
こっちのほうが、よっぽど勝率も利益も上がると思うんだけどなぁ。