たまに、ちょっといいレストランに行った時とか、日本料理店に多いかな、 料理を食べ終わる頃合いを見計らって 「お料理いかがでしたでしょう?」的なことを言ってくる女将さん的な人にでくわす。
これ、「いや〜、あんまりでしたね」とか言う人、というかそんなこと言える人っているのかな?
例えばカップルで食事をしていて、 実際はそんなにおいしくないなぁとか、値段ほどでもないなぁとか、ちょっと塩加減がきついなぁとか思っていたとしても、言わないでしょ。好きな彼女の前で。
「こいつ、細か」と思われるのが関の山だし、というよりも「その店選んだのお前やん」ともなりかねんし。
せっかくこの後の展開に向けて身も心もヒートアップしているところを、「いや〜、ちょっと口には合わなかったですわ」と言うことでその場すべてが凍りついてしまうし。
「お料理いかがでしたか?」って言ってる方も、それらすべてを見越してるんよね。なんならちょっとドヤ顔で聞いてきよるからね。
これって心理学的には認知的不協和の部類に入るのだろう。
①料理を食べてイマイチだと感じる。
②ただたとえイマイチだと思っていても「どうでしたか?」と聞かれたら「あ、おいしかったです〜」と言わざるをえない。
③とはいえ自分が嘘をついたという認知は解消したい。
④けれども一旦「おいしかった」と言ってしまった言動はどうすることもできない。
⑤でどうするかと言うと、料理を食べてイマイチだと思った記憶を改ざんするんですね。
これぞ認知的不協和の解消。
こんなことを見据えたどこかの訳知り顔の奴らがセミナーとかで偉そうに、 「お料理どうでしたか?」って言うといいぞってことを吹聴してるんだろうな。
けどね、これ実際に起きていることって、
⑤で、料理がおいしかったと記憶を改ざんするのではなく、
④で、「おいしかった」と言ってしまった言動に対する認知を、「「おいしかった」と言わされた。なんてひどい店だ。」という認知に改ざんすることなんじゃないかと思うんだけど。
で、これの怖いところは、
実は、①で本当においしかったとしても、「お料理どうでしたか?」と聞いてしまうことで、 「「おいしかった」と言わされた。なんてひどい店だ。」という認知が生じてしまい、
「あんなひどい店の料理がおいしいはずがない」といった認知になってしまうことなんだよね。
「お料理どうでしたか?」「寝心地いかがでしたか?」「ぐっすりお休みになれましたか?」・・・
こんな言葉は絶対に使ってはいけないのであります。
ディズニーランドは、入場口でチケットをかざすと「キラリラリーン」という音が鳴りますがあれはティンカーベルが魔法をかけてくれているのです。
そして、退場ゲートをくぐるときは、何も音がしません。
「間違っても夢と魔法の国、どうでしたか?」なんて聞きません。
そうです。 ディズニーランドの魔法はとけることがないのであります。