いやぁ。やりました。
ラグビー日本代表が世界NO.2の強豪、アイルランドに19−12で勝利。
いやぁ、すごい。
前回、4年前のワールド杯にて、当時世界NO.3だった南アフリカに勝利した際も、奇跡だとか、歴史的勝利だとか、世紀の番狂わせだ、なんて表現されたけど、
もはや、2連続となるこの勝利は、歴史的勝利でも、奇跡再来でも、世紀の番狂わせでもなく、まぎれもなく実力勝利。
力負けも速さ負けもせず、互角以上の戦いを繰り広げた結果、手にした勝利。
その実力が世界に認められたと感じたのは、最後の最後、残り数分、というところで敵陣深くまで攻め込んだシーンだった。
ちなみに、この試合、最後の最後で、7点差で負けているアイルランドがボールを取り、アイルランドには最後の最後、本当にラストワンプレイで同点に追いつくチャンスがあった。
ラグビーはトライで5点、その後のキックが決まれば2点入るので、ワンプレイで7点差を追いつくことができるスポーツだ。
そして、アイルランドは最後の最後にそのチャンスを得た。
そのとき、私は前回のサッカーワールド杯、決勝トーナメントのベルギー戦を思い出していた。
前半2−0で奇跡的に勝ち越していた日本が、後半、ベルギーに追いつかれ2−2。
さらに残り時間数分というところで日本ボールのコーナーキックがベルギーキーパーにキャッチされるや否や、電光石火のカウンターをくらい、15秒で失点した、あのシーン。
やっぱり格上は格上。世紀の番狂わせなんてそうそう起きるもんじゃない、ということを痛感したあのシーン。
アイルランドは世界2位、かたや日本は世界9位と明らかに格下の相手である。
下馬評ではワンプレイでトライ&ゴールを決めることも十分ありえる力の差だった。
さあ、やばいぞ。
アイルランドボールだ。
絶対止めるぞ。
そう身構えた瞬間だった。
目を疑ったが、アイルランドはボールを外に蹴り出したのだ。
?
??
え?
どういうこと?
終わりやん・・・
ボールを蹴り出した瞬間にノーサイドになることは明らかな状況でアイルランドはボールを蹴り出した。
当然、ボールがタッチラインを割ったところでノーサイドの笛が吹かれる。
歓喜にうずまくJAPAN。呆然と立ち尽くすアイルランド。
いやぁ、勝った、勝った。
けど、なんでアイルランド、最後ボールを蹴り出したのか?
なぜワンプレイで同点に追いつく機会をみすみすふいにしたのか?
実は、ワールドカップは5チームずつの予選ブロックに分かれて戦っていて、上位2チームが決勝トーナメントに進むことになっている。
で、その順位を決めるのが勝ち点で、
勝ち:4点
引き分け:2点
負け:0点
となっている。
そして、面白いのがボーナス制で
4トライ以上あげた場合は、+1点
7点差以内の負けも、+1点
というのがある。
ちなみに、前回ワールドカップでは、日本が歴史的勝利の南アフリカ戦を含む、3勝をあげ(3勝1敗)、
3勝1敗で日本、南アフリカ、スコットランドの3チームが並ぶも、ボーナス点の差で勝ち点が3位となり、決勝トーナメントを逃す結果となっている。
このボーナス点は意外とあなどれないのである。
そして、アイルランド。
そう、彼らは、最後の最後、ワンプレイで同点を狙いにいく(勝ち点2)のではなく、同点を狙いにいって逆に日本に得点されるリスク(勝ち点0)を恐れ、7点差での負け(勝ち点1)を選んだのである。
あの瞬間、アイルランドは、日本から点を取れる可能性よりも、日本に点を取られる可能性の方が高い、と判断した。
日本の実力を認めた瞬間だったのである。
もうお分かりかと思うが、この勝利は、奇跡でもなんでもなく、実力なのである。
いやぁ、それにしても、最後の最後に冷静に勝ち点1を手にしたアイルランド。
日本、アイルランド、スコットランドが3勝1敗で並んだ時に、笑うのはどのチームだろう。
もうしばらくラグビー日本代表から目が離せませんわ。